2012年9月12日水曜日
愛のバクダン
最初にテーマにする曲は随分と選びましたが、なんだかんだで聴き始めから今に至るまで、上下を繰り返しながらも安定してずっと、聞けば熱い思いになれる曲がこの曲だったので、最初はこの曲しかないと思いました。
38thシングルで、アルバムではTHE CIRCLE収録曲とのことです。
私は音楽的なことにはかなり疎いので、ギターがどう…とか曲調が…とか、専門的なことは全然よくわからないのですが、最初の軽快なギターの音から、重いベースの音が入って、曲調だけでぐっと引き込まれるキャッチーな曲だと思いました。
B'zの曲には(誰の曲でもそうかもしれませんが)、最初に聞いておっと思う曲と、最初はそこまで感じないけれど、何回も聴き込んでいると段々ハマってくるタイプがあると思うのですが、これはどっちかというと前者だと思います。でも私の中では、同時に、何回も聴き込んでいてはまっていくタイプの曲でもあると思っています。
実際、シングルの表になっていますし、B'zのお二人も、売れ線の曲として意識されているのではと思います。特に歌詞の意味を考えなくても、何となく聞いているだけで力が湧いてくる気がします。
ただ、この歌詞なのですが、これが結構難しいです。
そもそもタイトルが「愛のバクダン」ですが、この「愛のバクダン」が何を指しているか、非常に抽象的でわかりにくい。
愛にも色々種類があると思います、よく歌謡曲では愛といえば男女間の愛が語られますが、私は、考えた結果、この曲の示す「愛」とは、大きな意味で男女間のそういうものが含まれるかもしれませんが、言うならば、ちょっとした気遣いや、親子、師弟、そういった「人と人」の間に生まれる「愛」全てを総体的に指した「愛」だと思いました。
そもそも、歌詞の中で特に「愛のバクダン」と対比的に語られているのは「ジェラシー」だと思うのですが、この「ジェラシー」は「すべてを燃やし尽くし」たり、「僕を焦がし」たりしてるわけです。それを打ち消すのに、あえて愛の「バクダン」を使うのはなんぞやって話ですが、私はそこの絶妙な例えこそ、この「愛のバクダン」の持つパワー、スピード感が生まれた鍵なのではないかと思います。
端的に言えば、この曲は、「もっと愛をくれー!!」と、街の真ん中で天に向かって叫んでいる、そんな曲なのではないかと思いました。私はこの曲を初めて聞いた時に、わけもわからずボロボロ涙を流しながら、何度も何度もリピートして聴いてしまいましたが、今思えば、自分の意に反して嫉妬に燃え上がっていくこの体に、同じくらい燃えるような愛を、いやもっとそれすら凌駕するような熱い熱い愛をくれ!!と虚空に向かって叫んでいるような、この前向きかも後ろ向きかもわからない、でもひたむきでとにかく熱い思いを感じ取っていたのだと思います。
またちょっとしたことですが、私は何となく、「あいつのことばかり 気になってる」の「あいつ」を、気になってる女の子のことなのかなと思っていましたが、よく歌詞を見てみると、これは恋敵のことなんじゃないかとわかりました。
上にも書きましたが、ここで示す「愛」とは、男女間のそれももちろん含まれる、総体的な「愛」のことです。「きみのVoice」の「きみ」は、もちろん想い人のことだと思いますが、「ふとしたSmile」をくれたのは、想い人でなくてもいいはずです。
この曲は、「愛」という漠然とした概念を、漠然としたまま理解して、曲に昇華することに成功していると思います。全ての人の心が愛で満たされていたら、もしかしたら、この世はもっと平和なのかもしれない、「悲しみのからくり」を打破できるのかもしれない、というかむしろ自分自身がそれにとりこまれそうだ、だから愛をくれ、愛をくれ!と虚空に叫んでいる。
「愛」という概念は、よく歌謡曲のネタにされる、極めて難解でつかみにくいものだと思いますが、もしかしたら、「嫉妬」「ジェラシー」と対比させることで、見事にその像を捉えることができるのではないか、そう感じさせてくれる曲だと思いました。
そして、ジェラシーを、身を焦がすものとする捉え方はある意味一般的だと思いますが、そこにあえて「愛」という概念を「癒すもの」として捉えるのではなく、「バクダン」という、更に火力の強いもので例えたことにより、強い切迫感、身体の中からふくれあがってくるような熱望、スピード感を呼び覚まし、この曲を名曲とする大きなカギとなったのではないかと思っています。
また、この曲については、稲葉さんの端々での言葉選びの正確さと歌い方によって、改めて歌詞について考察しないでも、何となく心で言いたいことを先行して感じ取れるような気がします。
嫉妬に燃えながら愛を必死に求めるこの歌は、やはり歌声に切なさとパワーを兼ね備えた稲葉さんだからこそ、そのテーマも含めて100%歌いきれる曲なのだと思います。
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