2012年9月13日木曜日

love me,I love you

 友人からありがたくもリクエストを頂いたので、今日はこれにすることにしました。

 LOOSEでラベルつけてますが、LOOSEに収録されたものはバスが入ったアレンジ版なんですかね? 純正のものは、シングルやベストアルバムに収録されています。

 この曲は、昨日のコブシヲニギレと一転して、歌詞・メロディともに、とても前向きなもの。正直私からすると、聞く時のテンションによっては説教をされているような気分になって、あえて聴き飛ばしてしまうことがあります。多分これ作ったのは、感情が欝の部分から少し立ち直りはじめ、躁に向かい始めたところなんだろうなとか思ったりします。

 しかし、稲葉さんの欝っぽい部分を好む私が、この曲をそこまで嫌いになれない理由があります。それは、この曲の歌詞が、前向きながらも、無責任な前向きさではなく、非常に感情の細やかなところに配慮した前向きさを秘めているからです。

 まずこの曲のテーマですが、「人の心はどうしても何か足りないけれど、そこんとこ埋めるべきなのは…」何か。「恋人じゃない 親でもない」、それは自分です。

 自分に愛されなくなったら、人は生きていけないと思います。自分が自分を好きになれなかった瞬間、人は究極に弱くなる。私は「自分を愛す」より、「自分に愛される」側の表現のほうが好きですが、とにもかくにも、これは私の実感を持って言えます。自分のことが好きな瞬間、人は強い。私はそのことを経験的に、またある瞬間は自覚的に知っていましたが、忘れていました。この曲を改めて聞いて、今それを思い出し、じんわりとした温かみが心のなかに広がっていくのを感じています。

 ここで示す「愛」というのは、以前に紹介した「愛のバクダン」と同じ、男女間の愛だけでも、親子の愛だけでもない、全ての「愛」を総体的に表現した「愛」だと思います。ちなみに、I love youの「you」も、男女間等々に限定しない、いわば隣人愛のようなものですね。

 まあただ、ここまでは割と私の中では普通、というか、私はこの曲が持っている、特別な「細やかなところに配慮した前向きさ」は、中盤の部分にあると思っています。

「都合いいモノだけひっぱりだして 自分の運の悪さを そいつにべっとりなする癖 ないかい」
「やりたくないことが次々と見つかるけれど 消去法でイケることもあるらしい・・・」

 いや、ちょっと待て、この部分は一体、自分を愛して他人を愛すこととどういう関係があるんだ?

 何かさらっと言ってるのでついつい何の疑問も持たずさらっと聞いてしまうのですが、改めて考えてみると、この部分には、自分を愛し他人を愛すこととほとんど関連性がない。というか、愛とかLoveとかさんざん抽象的でマクロなことを叫んでいたのにこのいきなり具体的な感じは一体何なんだよって話です。

 ただ、この2つの「具体的な事象」が、ひどくしっくりくる。まるで関係ないことを言っているはずなのに、見事に、「愛が途切れる瞬間」を挟みこむことに成功している。

 要するに、稲葉さんの中には、「愛が途切れる瞬間がいつか」というイメージが明確にあるんだ! つまりは逆説的に考えた時に、この曲は愛だ愛だと歌っているけれど、じゃあその愛が必要な瞬間ってのは一体いつなんだよってことを、ここで示しているわけです。「都合いいものだけ引っ張りだして自分の運の悪さをそいつにべっとりなす」りはじめたとき、「やりたくないことばかりが次々と見つかる」とき、そんなときは愛だ、愛を出せ! 「僕はきっと愛をもっと出せる」! ということだと思います。
 それはきっと、人生を生きることにおいて、極めて理想的な道筋に近い。
 成功者の鍵は、人に与えることと昔自己啓発本か何かで読んだことがあります(うさんくさい)。


 このように、love me,I love youは、よく言えばB'zっぽい、悪く言えば稲葉さんっぽくない、ひどく前向きな曲でありますが、私にはどうしても歌詞の中で気に入らない箇所もあったりします。

 それは、「love me ぴりぴりするなら すぐにムッとするのグッと耐えて I love you 愛を吐き出して・・・」という部分ですが、それこそ、そんなミラクルな芸当が簡単にできたら苦労しないよ、と。ずいぶんと難しいことをさらっと言ってくれるな、という印象です。マイナスのことを言うとまわりまわって自分に返ってくるから言わない~ってのも随分、いわゆる「リア充」的な思考だと思いますし、そもそも私が愛している、稲葉さんの歌詞のマイナスでドロドロした部分をちょんと切られたようで、どうにも釈然としない。
 まあでも、これはそういう曲なので、そこはあえてカットしていかないと、曲のテーマとして成り立っていかないのかなとも思います。マイナス部分に触れたければもっと他に曲いっぱいありますしね。

 最後にちょっと不平もたれましたが、総評的に考えたら、やはりこの曲は、私の中でも名曲と位置づけていいのかなと思っています。とりわけ、今私が「やりたくないことばかり次々と見つかる」状態だったので、この曲を聞いた時、心のなかで重くしこりになっていたものが、スッと軽くなり、ピンク色の光に浄化されたように感じました。

 これだからB'zを聞くのはやめられません。
 ありがとうB'z。

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