今、ヘビーループで聞いているのはMONSTER収録の「ピエロ」だ。
桃色に染まる東雲…という、鮮やかかつどこか切なげな色彩から始まるこの曲は、1人の女性を奪って最高船速で「何か」から逃亡する歌だ。この疾走感と崩壊感が同居する感じは、今の私の心にしっくり落ちた。この手の楽曲は、他にパッと思いつくものとして「儚いダイヤモンド」や「なりふりかまわず抱きしめて」があったが(後者は性質としては再生に向かっていく歌詞だが、同じ、今にも壊れそうな「色」を感じた)、当初のこの「桃色」という色彩指定が、後に挙げた2曲との決定的なイメージを生み出しているような気がした。
そして、恐らくそれは、略奪愛というとんでもないことを「怪物に心をバリバリ食い散らかされて思わず」してしまった恐れ以上に、それをしてしまえたこと、できたことへの興奮、そしてこの後への希望、そういったプラスの感情が、歌詞に封入されているからだと思う。
だが、またしかし、そこに「ピエロ」というタイトルを持ってきたこと、そして「ひたむきで滑稽な逃亡者」「涙は流さないでおくれ」と、悲しむべき自分の姿を同時に歌詞に映していることが、そこに更に立体性を加えている。これは稲葉さんの歌詞の特徴だと思うが、こういうことを書かずにはいられないところがたまらなく大好きだ。
この曲の主人公は、自分の中の理性と、自分の中に眠る「怪物」と、必死に戦いながら毎日を生きているように思える。そんな想像が、自分の心と強くリンクし、今日は、この曲について感想を書くに至った。
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